住宅ローンの収入倍率が明らかにおかしい
正月に帰国すると家族が集まった。兄の年収は600万円くらいのサラリーマン。東京都内に狭小戸建てを所有しており、子供が二人いる。
新築狭小戸建ての物件価格は、年収の6.25倍で3750万円。フラット35でフルローンらしい。月々10万円程度の支払いとのこと。
調べると現在の住宅ローンの収入倍率は6〜7倍が普通らしい。銀行によっては8倍まで組めることもあるとか。
新築マンション価格は8倍でも買えないくらいまで高騰している。皆さんも様々な「違和感」を感じていると思う。
・日本はインフレよりデフレの国で、30年賃金が下がり続けている。
・日本経済が絶頂期だった90年代の住宅ローンの収入倍率は5倍。
まず賃金と不動産価格が上がり続ける環境=インフレの国なら不動産の購入は有効だ。
日本はデフレの国になっており、賃金が上がらないのに絶頂期の90年代より住宅ローンの収入倍率が上がっている。
本来はインフレだった90年代の5倍から4倍→3倍と下がっている必要がある。賃金が下がっているのだから。
ところが「超」低金利が全てを狂わせてしまっている。住宅ローンと言えども「需要」が無ければ貸せないのだ。
総額が増えても「借り手が納得する金利の支払いに収まること」これが賃金が上がらないのに収入倍率が上がっている理由だ。
今回は「収入倍率」にフォーカスした話なので、建築コストや人口減少は関係ない。住宅そのものではなく、住宅ローンの話。
結論は「支払い能力を超える借金をしている」ということ。
ちなみに私は年収を2,000万円に抑えているが、買っているコンドミニアム(日本でいうマンション)は2,000万円くらい。
年収倍率1倍で我慢している。
皆さんも狭小やボロ屋で我慢すべきだと思う。家賃は固定費だが、それは変更可能な固定費になる。住宅ローンは変更不可能な固定費だ。
「毎月10万円を35年支払う」この時点で仕事を選ぶ自由、生活を切り詰めて資金を貯める自由、他の土地へ移動する自由などを犠牲にしなければならない。
もちろん住宅を購入する理由はわかっている。
賃貸では得られない様々なバリューがあるからだ。しかしながら「現在の賃料より安い」とか「賃料を払い続けるのは嫌だ」とか、そういうのは金融リテラシーが低過ぎる。
うちの兄もそんな理由で購入している。
これから住宅を購入する方にアドバイスをしておきたい。まず独身なら日本の住宅は購入しないに限る。
家族がいる場合は「団体信用生命保険」が発動した時のみメリットになる。これ以外はデメリットしかない。
じゃあ具体的にどうすれば良いのか?
・(家族あり)現金があるのにフルローン。
・独身は賃貸。
独身は賃貸の一択。独身なら現金のが価値がある。趣味で買うなら良い。※独身者は「容易く移動できること」が人生最大のメリットだ。従って災害にも強い。
家族持ちの場合は、狭小やボロ屋を借りて我慢→資金を貯めよう。手元に2,000万円あって、2,000万円のフルローンで買う。これが理想だ。
完全に理想通りとはならなくとも、それに近づくことはできる。例えば貯金が1,000万円あって2,000万円のフルローンで購入するとか。
頭金とか繰り上げ返済には価値がない。それが超低金利の世界だし、35年もあれば団信発動の可能性は十分にある。
とにかく手元に資金を残しつつ、いざとなったら支払える。これこそが金融リテラシーの高い人間の解答だ。
あなたが不動産投資家なら腑に落ちる話しだと思う。
まとめ.
住宅ローンの話は単純だ。収入倍率は5倍以下+手元に現金を残す。頭金や繰り上げ返済には精神的な価値しかない。独身なら賃貸。
もっとわかりやすく言えば「貯金もないのに家を買うな」ということ。頭金0円、フルローンOK、家賃相場より安い、違和感を感じませんか?
上手い話には裏あり。今の経済環境で年収の7倍も8倍もローンを抱えていたら、高齢になったら破綻してしまう。
みんな買えないものを背伸びして買っているのだ。
おまけ.
今の時代マンションが人気だがマンションのメリットはズバリ何か?それは「利便性」だ。どうしても購入したいなら価値が下がりにくいマンションを買うのみ。
価値の下がりにくいマンションとは何か?
それは「駅近」の一択である。住環境とかはおまけなので、良ければ良いが不可欠ではない。
駅近(徒歩10分以内)じゃないなら借りるべし。